帝国通信工業株式会社 様

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海外に11社、16拠点を持つ電子パーツメーカー・帝国通信工業は、各拠点間の通信をインターネットVPNからIP-VPNに切り替えた。その理由と経緯などにつき、同社情報システム部春日氏と増田氏に詳しく伺った。

帝国通信工業の業態

操作ブロックの製造

― 帝国通信工業の業態について教えてください。

帝国通信工業は、電子パーツメーカーとして「電子部品」を開発・製造し、国内外の電機・電子メーカーにサービスを提供続けることで豊かな社会作りに貢献している企業です。
主力商品は、ビデオカメラ・デジタルカメラ・液晶TV・携帯電話等の「前面操作ブロック(I.C.B.=Integrated Control Block)」と呼ばれるパーツです。フィルムベーステクノロジーを活かし、軽薄短小の機能的なパーツを製造しています。
創業は1944年、売上高は2007年3月期で273億5600万円です。1971年に東証一部に上場しています。

日本と海外12拠点をIP-VPNで結ぶ

― 帝国通信工業はシングテルをどのように活用していますか。

当社は2007年4月、シングテルに国際IP-VPNの構築を依頼しました。これにより、日本本社と海外8ヶ国12拠点がIP-VPNで接続されました。海外12拠点とは中国、タイ、シンガポール、香港、インドネシア、ベトナム、台湾、アメリカにある生産7拠点、販売5拠点です。

インターネットVPNからIP-VPNに切り替えた理由

― それまで海外拠点との通信はどのように行なっていましたか。

当社では、進歩の速い回線の世界に対応するため、定期的に本社と拠点間との通信環境の見直しを行なってきました。
直近では、パソコン通信から切り替える形で、2000年からインターネットVPNを利用し、本社と各拠点との間でEDI化した受発注、見積り、決済、出入荷などのデータ通信を行っていました。

― 今回、インターネットVPNをIP-VPNに切り替えたきっかけは何ですか。

ここ数年、グループ全体での海外拠点の比重が大きくなってきました。データの重要性が増してくるにつれ、安価であるというメリットを受けながらも、インターネットVPNの安定性とセキュリティ面に不安を感じていました。
直接のきっかけとなったのは「e-HUB化プロジェクト」です。これは、当社のグローバル企業としての基盤強化の取り組みです。この中で、当社の目指すグローバル企業の通信インフラとしてはインターネットVPNでは不十分であると考え、それに替わるものとしてIP-VPNを選択しました。

グローバル企業としての生き残りをかけた「e-HUB化プロジェクト」とは

春日氏

― 「e-HUB化プロジェクト」についてさらに詳しくお聞かせください。

これまで当社では、12拠点それぞれが会計管理を行い、十分な連携が取れていませんでした。このプロジェクトの目標は、本社が各拠点の情報を一元管理し、さらにそれをリアルタイムに行なうことです。これにより以下2つの実現が可能になると考えました。

経営資源全体の情報を即時的に把握することにより「スピード感を持った経営判断」が可能となり、電子パーツの国際市場での競争力を強化できる。
各拠点間との情報を密にし「情報の信頼性アップ」、連結決算が容易になることで、J-SOX法に則した内部統制が実現できる。
2007年は、この情報一元化プロジェクトにおいて「インフラを作る年」という位置づけでした。ホストコンピュータの刷新に加え、今回のIP-VPNの導入を行なうに至りました。

IP-VPN構築にあたり、海外通信会社など4社を検討

― IP-VPNの構築にあたり、どのような通信会社を検討しましたか。

海外の大手2社、国内大手1社、そしてシングテルの4社に見積り依頼を出しました。

― 他3社のような大手通信会社に加えて、企業規模としては一番小さいシングテルを候補としたのはなぜですか。

当社の東南アジア各拠点の関係者から「ローカルではシングテルが強い」という評判を聞いていました。特にシンガポール営業所では「シングテル以外の選択肢がない」というほどの存在であることも知っていました。

― 4社の見積り金額はいかがでしたか。

残念ながら、いずれも当社の予算を大きく上回る金額でした。どの通信会社も予算の10倍ほどの、桁が一つ違う見積り額でした。途方に暮れました。

シングテルに決めた二つの理由

増田氏

― ほぼ同じ見積り金額の中で、シングテルに決めた理由をお聞かせください。

シングテルに決めた理由は二つあります。

理由1:「シングテルには歩み寄りの姿勢があった」

シングテル以外の通信会社に「この見積り額は、うちの予算の10倍です」というと、どこもみな「ああそうですか」というやりとりで終わりでした。たしかに、せめて2~3倍であれば話し合いの余地があると思ったのでしょうが、なにしろ桁が一つ違う金額です。そんな態度も仕方がないのかと思いました。
しかしシングテルは違いました。話し合いの場を持ってくれました。こちらの話を良く聞いてくれて、サービスレベルや回線の太さをどこまで落とせばいいのか相談に乗ってくれました。その結果、ぎりぎりのラインを提示してもらい、なんとか手を伸ばせば届く範囲までくることができました。
他の3社は大手通信社だけに、お客も大手でなければ相手にしないというような雰囲気があった中、シングテルの「こちらの話を聞いてくれる」という姿勢は有難かったです。

理由2:「ベトナム進出を基準に考えた」
IP-VPNの導入を決定する前に、ベトナムに生産拠点を設けることが決まっていました。このベトナム拠点は、通信開通には難しい土地であることが予測されました。ベトナムという国自体が中国やタイに比べてインフラ部分がまだ未整備ですし、さらに建設地は新設されたばかりの工業団地だったからです。そのような厳しい条件の土地における通信開通においては、経験則から欧米系よりも東南アジア系のシングテルのほうが頼りになると判断しました。

― シングテルに決定したのはいつですか。

社内決裁が下りたのが2007年3月、その翌月には申し込みをしました。当社では国内のネットワークをNEC(日本電気株式会社)にお願いしておりましたので、窓口を一つにするためにNEC経由でシングテルに申し込みをしました。
構築は2段階に分けて行ないました。第一ステップは日本を含む7拠点で、終了が2007年7月。第二ステップが6拠点で、最後のアメリカ拠点の工事が終了したのが2008年1月でした。

困難だったベトナム拠点でのIP-VPN構築

ベトナムでのIP-VPN

― 12拠点の中でIP-VPNの構築が最も大変だった拠点はどこですか。

何といっても一番先に工事を行なったベトナム拠点です。前述したように、当社が工場建設をしたのは新設の工業団地で、日本企業としてだけでなく、世界の中でも当社が一番乗りの、まさに「開拓」という状況でした。図らずも一番難しいところからのIP-VPN構築のスタートとなりました。

工業団地の名前は「ホアラック・ハイテクパーク」ですが、その名の通りに「ハイテク」になるのは恐らく数年後であろうと思われました。まだその時点では原野を切り開いた、周りに水牛がいるような場所です。工事をお願いすると、ベトナムの民族帽子をかぶった作業員がツルハシを持って現われます。IP-VPNといっても電話線を工場のフェンスに結わくような工事でした。雷が鳴ると交換機を守るために電源を抜いたりするような文化の違いの中、言葉の問題もあり作業チームとの意思伝達がうまくいかず途中大変な状況がかなりありました。

線の張り直しを繰り返し、四方八方手をつくしてなんとか無事にIP-VPNの回線工事が終了しました。当社としても大変でしたが、シングテルも力を尽くしてくれました。おかげで今現在の通信は安定した運用が出来ています。

IP-VPNの予算の稟議を通すには

― インターネットVPNからIP-VPNに切り替えをしたくても、さまざまな理由から稟議を通すのを困難に感じている情報システム部の担当者も多いと聞きます。帝国通信工業が今回、提案からすぐに導入に移ることができたのはなぜでしょうか。

今回のIP-VPN導入の提案は、我々情報システム部が提案する「e-HUB化プロジェクト」の一環として行ないました。たまたまそれが良いタイミングで、経営陣の考えるグローバル化計画と合致しました。提案してからわずかの期間で予算がおりたのはそれが理由だと考えています。

通信のようなインフラ整備は経営陣にとっては大きな投資ですが、投資効果の測りにくい分野でもあります。「システムの刷新をしたい」という単独での提案では経営陣を説得するのはなかなか難しいでしょう。逆に言えば、経営戦略に合致させる形で提案を行なえば、経営陣の理解も得やすいのではないでしょうか。

シングテルへの評価

― 今回のIP-VPN導入を通じての、シングテルへの評価をお聞かせください。

シングテルには、第一ステップ、第二ステップを通じて、常に良い対応をしていただき感謝しています。具体的に評価できる点は以下の3つです。

評価点1:「ベトナムにやはり強かったこと」
労働力の質が良く、高い文化を持ちながらもコストが安いベトナムは、当社が重要な拠点として今後、最も力を入れていく地域のひとつです。まだインフラが整わない悪条件の中、シングテルのベトナムでの貢献を高く評価しています。

評価点2:「話を聞いてくれたこと
IP-VPNの整備なしに「e-HUB化プロジェクト」の推進は困難です。予算のことで、ほかの通信会社が通り一遍の対応しかしてくれなかったのに対し、シングテルが真剣に話し合いをしてくれたおかげで、当社が目指す通信インフラが整いました。

評価点3:「機動性があること」
シングテルの動きはマメでした。クレームを上げると常に素早い対応をしてくれました。通信会社というのは皆どこも大きい会社なので、我々のような小さい会社の言うことなど聞いてくれないイメージでしたがシングテルは違いました。

シングテルはどんな会社に向いているか

― シングテルのIP-VPNが向いている企業はどんな企業だと思われますか。

当社のような会社だと思います。あまり規模が大きくなくて、東南アジア、しかもまだ開発が進んでいない地域に拠点がある企業であれば、シングテルの良さを活用できるのではないかと思います。

今後の期待

― シングテルへの今後の期待があればお願いします。

シングテルは東南アジアに強い通信会社ですが、今後は日本においても強くなってほしいと願うと同時に、今後もさらに高品質な回線を低価格で提供する努力を続けて行って欲しいと思います。当社は今後も通信基盤を盤石にする努力を続けて行きます。シングテルにはそのサポートをこれからもお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

*取材日時 2008年4月
*IP-VPN、IPVPN、IP VPNは同義です。